それは、1964年に東京オリンピックと同時開催された東京パラリンピックに海外から様々な車いすを利用される方が来日し、それらを参考にしてJISの原案となる「車いす規格制定に関する資料」が作成されたことです。海外から流入したモデルを参考にしたのが、現在の標準型車いすの原型となっています。日本人の体格と欧米諸国の方々との体格は異なります。さらに現在の利用者の方の体格との差はさらに大きくなります。したがって、身体と車いすの接点(接触部分)で不具合が発生しやすく、快適に過ごすことが難しくなってきますので、注意深く寸法をみることが大切です。
フットレストからの距離と思われている方もいらっしゃいますが、床からシートまでの距離をシート高と呼びます。シート高が低く、フットレストが装着されている車椅子の場合、フットレストの地面からの距離が十分でなく、歩道と車道の境界などのちょっとした段差に接触してしまうことがあります。
最適な座幅は実際に車いすに座って、手が両側に入るくらいの余裕がある幅やお尻の幅から5センチ程度の余裕を取った幅、とも言われています。
車いすの座奥行は、膝の裏からお尻までの大腿部をカバーできる長さを取ります。座奥行があまり短すぎると、狭い面積範囲で体重を支えることになります。利用者の大腿部が骨ばっていたりするとその部分に体重の負荷が集中してしまい、褥瘡の原因になる場合もあります。逆に座奥行が長すぎる場合、シートの前部分が膝の裏に当たってしまいます。また長すぎる奥行の車いすでは、ずっこけ姿勢になってしまいます。
アームレスト高とは車いすのシートからアームレスト上部までの距離を言います。スリングシートの場合、実質アームレスト高は長くなる傾向があるといえます。肘を90度曲げたときに、アームレストに軽く触れる程度が適当なアームレスト高となります。アームレストが低すぎると、肘をアームレストにおくことができず肩が落ち込んでしまいます。また高すぎる場合も、肩が持ち上げられたような格好になりリラックスできず、アームレストを利用しなくなり、腕を内側に置くことが多くなり、体格が丸まるようになってしまいますので軽視しないようにしましょう。
座幅と座奥行は乗り心地に大きく影響するので、体格に合ったものを選びましょう。
車いすの選び方には正解がありませんが、利用者の乗り心地を最優先に考えることを忘れてはいけません。
車いすを利用される方の性別や体格はさまざまです。その体格に応じたサイズの製品を選ぶことはストレスのない日常生活にとって重要です。
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