その腰痛は温めるべき?冷やすべき?冬の辛い腰痛は内から外から体を温め、正しい「座り」姿勢で腰痛撃退
冬になると、腰痛が辛くなるという人はいませんか。体が冷えて筋肉がこわばると、腰痛が悪化してしまうケースがあります。
自分の腰痛は冷やすべきか、温めるべきかを知り、温めるべき場合は体を温める食材をとったり、温熱グッズを使ったりすることで、腰痛を和らげましょう。
また「座り」の姿勢を見直してみることも大事です。腰痛撃退のための、正しい「座り」姿勢についても解説します。
腰痛は温めるべき?冷やすべき?
腰痛になってしまったら、温めるのと冷やすのと、どちらが良いと思いますか。
実は、症状によって、患部を冷やすべき腰痛と、温めるべき腰痛があります。
真逆の対処法を行って逆効果にならないよう、自分の腰痛はどちらなのかを知ることから始めましょう。
・温めるか冷やすかの判断ポイント
患部を温めるか冷やすかの判断ポイントは、急性腰痛か、慢性腰痛かにあります。
まずは自分の腰痛が何にあたるかを確定させるのが大事です。
・急性腰痛の場合は「冷やす」
急性腰痛を発症した直後は、腰の周辺に炎症が起こっていると考えられます。炎症が治まるまで、患部を冷やすべきです。
とくに痛みが強い間は、うつ伏せになった状態で腰の上に氷のうを置き、安静にします。
濡らしたタオルを腰に当てるだけでも効果的です。
〈急性腰痛が悪化すると?〉
急性腰痛を放置すると痛みが長引き、痛みを回避するため活動を控えることから、筋肉が硬くなってしまいます。
筋肉が硬くなると血流が悪化し、慢性腰痛に移行する可能性が高くなります。
また、まれに急性腰痛により腰部にヘルニアなどの病気が引き起こされることがあります。
病気と知らずに放置すれば、そのうちお尻から足にかけてしびれが起こったり、麻痺症状が出てきたりするかもしれません。
・慢性腰痛や急性腰痛の炎症が収まったら「温める」
慢性腰痛になったら、急性腰痛の初期とは逆に体を温めましょう。
急性腰痛においても、炎症が収まり次第、「冷やす」から「温める」に切り替えます。
血行を良くすることで筋肉の緊張を緩めれば、痛みは和らぎます。
とくに寒さが厳しい冬は、筋肉がこわばりやすい季節です。腰痛も出やすいため、意識して体を温めるのが大事です。
〈慢性腰痛が悪化すると?〉
慢性腰痛が悪化すると、腰の痛みだけでなくお尻から足にかけてしびれが起こることがあります。
これは坐骨神経痛の症状の一つで、腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニア、変形性腰椎症などを発症している可能性があります。
温シップと冷シップどっちがいい?
シップを使う場合、急性腰痛の初期には冷シップを使いましょう。
冷シップに含まれる成分による「ヒヤッとした感じ」が、痛みを和らげてくれます。
なお、冷シップの多くには消炎鎮痛剤が配合されているため、急性腰痛による炎症と鋭い痛みを抑えてくれます。
慢性腰痛や、急性腰痛の炎症が収まった後には温シップを使いましょう。
温シップに含まれるカプサイシンによる「じんわり温かい感じ」が痛みを楽にします。
また、消炎鎮痛シップは、痛みを和らげる目的でどちらの腰痛にも使えます。
ヒヤッとする感じがありますが、実際に患部を冷やしているわけではないため、慢性的な痛みにも有効です。
どのシップにおいても用法・用量を守り、皮膚の弱い人はかぶれに気をつけましょう。
かゆみや赤みが出たら、使用をやめて医師に相談します。
不安な人は、まずは短時間だけ使用してみるなどの工夫をしましょう。
とくに慢性腰痛を抱えている人は、シップを有効に活用しながら、食べ物や温熱グッズで内からも外からも体を温めるのがおすすめです。
次項からは具体的な体の温め方や、腰痛の人が特に気をつけたい座り方の注意点について解説していきます。
寒い冬に体を温める食材たち
血行促進などの効果により体を温める食事をとることで、腰をいたわりましょう。
冬の食事に無理なく取り入れられる食材をご紹介します。
・ショウガ
ショウガの成分であるジンゲロールとショウガオールには発汗作用があり、体を温めます。
生よりも加熱したほうが効果がアップするため、冬はアツアツの鍋など、汁物に加えるのがおすすめです。
・唐辛子
唐辛子に含まれるカプサイシンが、体を温め、発汗を促します。
いつもの野菜炒めにプラスして、少しだけピリ辛にしてみては。
また、粉末の一味唐辛子なら手軽に取り入れられます。温かいうどんやおそばにどうぞ。
・ネギ、ニンニク
ネギやニンニクに含まれるアリシンという成分に、血行促進作用があります。
アリシンには抗菌作用もあるため、風邪予防にも役立ちます。さまざまな料理に、薬味としてトッピングしましょう。
・根菜類
冬に旬を迎えるレンコン、ニンジン、サトイモ、サツマイモといった根菜類は、体を温めてくれます。
旬の野菜は安価になる傾向があり、かつ美味しいので、無理なく食生活に取り入れられます。
煮物やおでんで活用しましょう。おやつに焼き芋もおすすめです。
冬の身体を部分的に温めるグッズを駆使しよう
腰に負担をかけない座り方をマスターしたら、さらにグッズをプラスして身体を温め、冬の腰痛を撃退しましょう。
エアコンの調節が自由にできない場所でデスクワークをする人は持っておくと安心です。
・USB接続できるブランケット
電気ブランケットは、ひざ掛けとして使うだけではなく、腰元から巻いて温めましょう。
使用できる電源に制限がある場合でも、USB接続機能があるものならPCにつけられて安心です。
・レッグウォーマー
冷えやすい足首を温めると、全身の血行が促進され、体全体がポカポカと温まります。
レッグウォーマーならカバンの中でもかさばらず、冷えたと感じたときにサッとはけて便利です。
・フットウォーマー
特に足元が冷える職場では、電熱式のフットウォーマーも有効です。
足湯のような気持ちよさで、リラックス効果もあります。
・腰用の温熱ベルト
腰に巻くサポーターベルトに、温熱機能がついている商品があります。
ホッカイロのような使い捨てタイプ、磁石反応型の自己発熱タイプ、レンジで繰り返しチンして使えるカイロを仕込むタイプなど。とにかく腰を中心的に温めたい人におすすめです。
・カップウォーマー
飲み物を温かいままキープできるのが、コースター型のカップウォーマーです。
USB接続機能付きのものなら、PC周りでスマートに使えます。
「体が冷えたな」と気づいたときにいつでもホットドリンクを飲んで、体の内側から温めることができます。
・充電式湯たんぽ
腰、お腹、足元など、そのつど温めたいと思った箇所にあてて使えるのが湯たんぽです。
オフィスで使うなら、お湯を入れなければならないタイプより、充電式がおすすめ。
腰にあてる、お腹に抱える、さらに上からブランケットを敷いてコタツのようにするなど、使い方はさまざまです。
ゆっくりとお風呂に浸かろう
急性腰痛ではなく、また感染症や悪性腫瘍が原因の腰痛ではない慢性腰痛の場合には、入浴が効果的です。
お湯の温度は38℃から41℃の間で、季節によって適温は変わりますが、ややぬるめと感じる程度に調節し、10~15分ほど入浴すれば、筋肉の緊張がほぐれます。
腰回りのストレッチも合わせて行うと、より血行が良くなります。
ほか、好みの香りの入浴剤を利用すれば、肉体だけでなく精神的にも鎮静作用が期待できるでしょう。
入浴後には、脱水を避けるためコップ1杯の水分補給をお忘れなく。
高血圧持ちの人は、湯温や入浴時間について医師と相談しましょう。
腰痛の人がやりたい入浴中のストレッチ3つ
1. 上体ひねり
頭の後ろで腕を組み、体を左右にひねります。肩、背中、腰周りの筋肉がほぐれるストレッチです。
2 .足倒し
浴槽の中で体育座りになり、両足をそろえたまま、左右にゆっくりと倒します。
これを繰り返しましょう。腰部と股関節周りの筋肉を緩めます。片足ずつ、外側に倒すのも効果があります。
3. 前屈
浴槽内になるべく膝を伸ばして座り、息を吐きながら、両手で両足のつま先に触れます。
腰周りの柔軟性を高めるストレッチを、筋肉が緩みやすい浴槽内で行うことで、さらに効果を高めます。
腰痛の人なら気をつけたい、お風呂の入り方
入浴は腰痛に効果がありますが、入り方に気をつけないと、かえって腰痛を悪化させてしまうかもしれません。
次の4つに気をつけましょう。
1 .浴室内を暖めておく
浴槽内は温かくても、浴室が寒ければ筋肉はこわばってしまいます。お湯の蒸気で浴室を暖めたり、浴室暖房を使ったりして、なるべく「寒い」と感じないようにしておきましょう。
2 .浴槽に腰をかけ、体の向きをクルッと変えて、足先から湯船に浸かる
浴槽に入るとき、無理な体勢を取ると腰を痛めがちです。浴槽の縁を使って座り姿勢をとってから、ゆっくりお湯に浸かりましょう。
3. 腰痛のひどい人は浴槽で使える椅子を使う
浴槽内での無理な姿勢が原因で、腰を痛める可能性もあります。
お風呂で使える椅子を浴槽内に沈めて、椅子に座ると楽に入浴できます。
ただし浴槽で椅子に座りながらのストレッチは、転倒の危険があるので控えましょう。
4. 髪や体を洗うときは前屈みにならない
洗髪するとき前屈みの姿勢になる人は多いですが、この姿勢が腰痛悪化の一因となることもあります。
なるべく前屈みにならないよう意識しましょう。シャンプーやリンス、石けんも、前屈みにならずに取れる位置に置いておきます。
冬の腰痛は、座り方にも注意を!
寒いとどうしても運動不足になりがちです。
長時間悪い姿勢で座りっぱなしでいると、さらに筋肉がこわばり、痛みを感じやすくなってしまいます。
正しい座り方をしていれば、腰に過度な負担がかかることなく、腰痛回避につながります。
以下の3点を意識して座りましょう。
・椅子には深く座り、骨盤を立てる
腰に一番負担がかからないのは、「まっすぐ立っているときの上半身」の姿勢を、そのまま保つ座り方です。
椅子に深く座って背もたれにお尻を突き当てて、そのままグイッと上半身を起こしましょう。
すると骨盤が立ち、上半身はまっすぐ立っているときと同じ姿勢をキープできます。
・目線はまっすぐ、猫背にならない
目線を落としてしまうと前のめりになり、首だけで重い頭を支えるため、肩こりの原因になります。
目線をなるべくまっすぐにし、体全体で頭を支えましょう。
また、目線を落とすと肩も前へ下がってしまい、猫背になりがちです。
猫背は首や肩だけではなく、腰にも負担をかけます。視線を上げれば自然と胸も開き、猫背にならないよう意識できます。
・腰を反らない
姿勢を良く見せようとして必要以上に胸を張ると、腰を反ってしまうときがあります。
腰を反らせるとスタイルが良く見えるかもしれませんが、腰にはかなりの負担がかかっています。
背中は背もたれに軽く沿わせる程度にするのが、腰に負担のかからない座り方です。
正しい座り方がツラいと感じるようになったら、体が座ることに疲れてきたサインです。
いったん立ち上がり、伸びをする、トイレ休憩を入れるなどして動き、体をほぐしましょう。
冬も内から外から体を温め、腰痛の悪化を防ごう
腰の筋肉がこわばってしまったまま放置しておくと、血液の循環が滞り、急性腰痛(ぎっくり腰)を引き起こしてしまう危険性も高まります。
冬は温かいお風呂に浸かり、体を温める食材をとって、冷えから体を守る生活を心がけるのが大事です。
さらに座るときは正しい姿勢を心がけ、寒いと感じたら積極的に温熱グッズを使えば、腰痛の回避につながります。
寒い季節こそ自分の体をいたわり、「いつも体がポカポカ」の状態を維持しましょう。
正しい座り方は維持するのが難しい
座り始めは骨盤を立てた正しい座り方を意識していても、維持することが難しい、という場合もあるでしょう。
骨盤を立てて座ると腰は楽になりますが、しだいにお尻が痛くなってきます。
そうすると痛くない位置に重心を移すことになり、いつの間にか身体に負荷のかかる座り方になってしまいます。
特に仕事など何かに集中しているとき、気づいたらいつもの悪い姿勢になっていたというケースもあります。
この「お尻が痛い」問題を解決する最善の方法は、「座る環境」を整えることです。
例えば、椅子にクッションを置くとお尻の痛みを和らげることができます。
クッションを購入するときなるべく安価なものや、見た目重視で購入するケースもあるかと思いますが、長時間座って作業に集中し、腰痛も予防したいと考えるなら、機能性クッションがオススメです。
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さらに、座ったときにお尻にかかる圧力を分散するタイプは「お尻が痛い」問題を解決することができます。
正しい座り方をキープするために、ぜひ自分に最適な「座る環境」を作ってみてください。
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よくある質問
腰痛は温めるべき?冷やすべき?
・急性腰痛の場合は「冷やす」。急性腰痛を発症した直後は、腰の周辺に炎症が起こっていると考えられます。炎症が治まるまで、患部を冷やすべきです。
・慢性腰痛の場合は「温める」。慢性腰痛になったら、急性腰痛の初期とは逆に体を温めましょう。急性腰痛においても、炎症が収まり次第、「冷やす」から「温める」に切り替えます。血行を良くすることで筋肉の緊張を緩めれば、痛みは和らぎます。
温シップと冷シップどっちがいい?
・急性腰痛の初期には冷シップを使いましょう。冷シップの多くには消炎鎮痛剤が配合されているため、急性腰痛による炎症と鋭い痛みを抑えてくれます。
・慢性腰痛や、急性腰痛の炎症が収まった後には温シップを使いましょう。温シップに含まれるカプサイシンによる「じんわり温かい感じ」が痛みを楽にします。
どのシップにおいても用法・用量を守り、皮膚の弱い人はかぶれに気をつけましょう。
冬の身体を部分的に温めるグッズ
・USB接続できるブランケット。腰元から巻いて温めましょう。
・レッグウォーマー。足首を温めると、体全体がポカポカと温まります。
・フットウォーマー。足湯のような気持ちよさで、リラックス効果もあります。
・腰用の温熱ベルト。腰を中心的に温めたい人におすすめです。
・カップウォーマー。温かい飲み物で体の内側から温めることができます。
・充電式湯たんぽ。そのつど温めたいと思った箇所にあてて使えます。
【参考文献】
『腰の激痛 最高の治し方大全』文響社
『最高の入浴法』早坂信哉、大和書房
『お風呂で5分!「アクア・ストレッチ」健康法』須藤明治、講談社
『お風呂の達人』石川泰弘、草思社
『入浴の事典』阿岸祐幸編、東京堂出版
『腰痛・脊柱管狭窄症と座骨神経痛を治すコツがわかる本』竹川広三、主婦の友社