腰痛の原因はほとんどが不明…でも悪化防止は可能!腰痛予防の習慣5つ
慢性的な腰痛は加齢や良くない生活習慣の蓄積によって起こり、直接的な原因を突き止めるのは難しいとされています。「原因を明らかにして解消すれば、改善する」という単純なケガや病気ではないため、腰痛は辛く、長い付き合いになるものです。しかし、腰痛になりうる複数の生活習慣を正していけば、悪化の防止に役立ちます。「冷えの改善」「座り方の改善」「適度な運動やストレッチ」など、腰痛の悪化防止が期待できる習慣についてご紹介します。
腰痛の原因、ほとんどはわからない
厚生労働省「国民生活基礎調査(平成28年)」によると、腰痛は男性が感じている不調の第1位、女性では肩こりに次いで第2位となっており、年齢が高くなるにつれて有訴者率が高くなっています。不調の訴えとして「腰痛」が多いという状況は、平成7年の調査にさかのぼってみても同じで、日本人の悩みとして「腰痛」は最もありふれたものといっていいでしょう。
しかし、腰痛のほとんどは原因不明といわれています。医師の診察や画像検査により「この骨の、ここの部分が傷んでいる」などと原因が特定できる「特異的腰痛」はわずか15%で、残りの85%は原因が特定できず、明らかな異常や病気を見つけられない「非特異的腰痛」です。非特異的腰痛は、加齢や個人の体格、筋力をふくめ、腰に負荷がかかる日常動作の有無や生活環境、心理的なストレスなど、様々な要因が重なって起こるとされています。
腰痛になったら要注意!こんな病気が隠れていることも
原因が分からないからといって、腰痛を治すことをあきらめてしまえば、腰痛は次第に悪化していきます。また、重大な内臓疾患が隠れている場合もあるため、医師の診察を一度も受けずに放置するのは危険です。腰痛が重要なサインとなるのは、例えば次のような病気です。
【特異的腰痛の原因となる病気例】
・椎間板ヘルニア
背骨の間にある椎間板がつぶれ、椎間板中の髄核が飛び出して神経を圧迫し、痛みを引き起こします。
・腰部脊柱管狭窄症
脊椎内の神経が圧迫され、腰痛や足のしびれを引き起こします。
・脊椎腫瘍
脊椎骨にできた腫瘍が腰痛を引き起こします。良性と悪性があります。
・骨粗しょう症による腰椎骨折
骨内のカルシウムが流出し、骨密度が減った状態になるのが骨粗しょう症です。骨粗しょう症の人は骨がもろいため、腰椎骨折を引き起こしやすくなります。
・内臓疾患
泌尿器科系、婦人科系、消化器系、循環器系の病気が原因で、腰痛が起こることがあります。
腰の痛みがひどい人は、まずは医師の診察や検査を受けてみましょう。そして原因不明の「非特定的腰痛」であるとわかったなら、腰痛をさらにひどくさせないために、次の4つの習慣を意識してください。
腰痛予防の習慣1:冷えの改善
体が冷えて筋肉がこわばると、筋肉と筋肉の間にある神経が圧迫され、痛みが生じます。寒い冬に、とくに腰痛がひどくなるという人は、筋肉の硬直が痛みに影響している可能性が大きいでしょう。筋肉の硬直が起こらないよう体を温めることは、一番無理なくできる腰痛改善法といえます。
冷えの改善に有効なのが、入浴、運動、そして体を温める食材をとることです。シャワーで済ませず、湯船につかってきちんと体を温めましょう。座りっぱなしの生活をしている人は、毎日少しのウォーキングを心がけるだけでも腰痛予防につながります。体を温める食材の代表格は、生姜やトウガラシ、ネギ、ニンニクです。日常の食生活に、薬味として無理なく取り入れましょう。
腰痛予防の習慣2:座り方の改善
悪い座り方を続けることで腰痛が発生した人は、その座り方を改善しなければ、腰痛がもっと悪化してしまう恐れがあります。良い座り方、悪い座り方を知り、意識して良い座り方を継続できるようにしましょう。
・良い座り方
良い座り方のポイントは、以下の5つです。長く座り続ける職業の人はとくに、気づいたときに5つの要素を満たしているかを確認してみましょう。
1 .椅子に深く座る
まずはお尻が背もたれに触れるくらい深く座り、そのまま背筋を伸ばしましょう。すると自然に「骨盤が立った」状態になります。腰に最も負担がかからないのは、骨盤が立った状態です。
2 .座骨で座る
座ったとき、お尻の下に手を入れると、両側に骨があることが分かるでしょう。これが座骨です。座るときには、座骨の部分が座面に触れていることを意識しましょう。
3 .背もたれには軽く背中を沿わせる
背もたれに頼り切らず、背中をやや沿わせる程度にします。
4 .目線は前に
目線をなるべく下げることなく、正面を向くようにすると、思い頭を体全体で支えることになり、首に過度な負担がかかりません。
5 .正面を向いて座る
体をねじったり、足を組んだりすることなく、真っ正面を向いて座ると、筋肉に負担がかかりません。
・悪い座り方
ついついやってしまいがちな、悪い座り方の例は以下の5つです。心当たりのある人もいるのではないでしょうか。
1 .椅子に浅く座り、背もたれに強く背中をもたれさせ、仙骨で座る
背もたれに強く背中をもたれさせると、お尻が滑って淺座りになり、座骨ではなくお尻の後ろにある仙骨で座る「仙骨座り(すべり座り)」になりがちです。仙骨座りは、背骨の本来のカーブを損なわせ、腰に負担をかけてしまいます。
2 .腰を反らせ、過度に胸を張る
姿勢良く座ろうとする人がやりがちなのが、グイッと腰を反らせて胸を張る、モデルのような美しい座り方です。見た目は良いのですが、骨盤がかなり前傾してしまい、腰痛の原因になります。
3 .目線を落とす
スマホやパソコンを操作するときにやってしまいがちなのが、首を前に出し、目線を下に落とす姿勢です。首を前に出すと、重い頭を首だけで支えることになり、首に相当な負担がかかります。これが首こりや肩こりなど、さまざまな体の不調につながります。
4 .足を組む
足を組んで座ると、腰のまわりがねじれた姿勢がずっと続くことになり、負担がかかります。体の歪みにもつながります。
5 .床に座るとき、横座りになる
床座りをするとき、正座からどちらか一方にお尻をずらし、膝を崩して座る「横座り」になっていませんか。体がねじれてしまい、背骨が自然なカーブを保ちづらくなるため、やはり腰周りに負担がかかってしまいます。床に座るときも、体が正面を向くよう気をつけなければなりません。
腰痛予防の習慣3:荷物の持ち方の改善
重いものを持つとき、腰に過度な負担がかかると、腰痛が悪化したり、ときにはぎっくり腰になってしまったりする可能性が高まります。とくに、床から重い荷物を持ち上げるときなどは、持ち方に注意しましょう。
まずは、体を荷物の正面に向けます。そして荷物に体をなるべく近づけ、足を腰幅に開きましょう。そして、必ず腰を落として荷物を持ち上げます。腰を高くしたまましゃがみ、荷物を持ち上げようとすると、腰に過度な負担がかかります。
・腰に負担をかけない立ち上がり方、荷物の下ろし方
重い荷物を持つときには、立ち上がり方にも工夫が必要です。ポイントは、腕や腰の力だけで持ち上げようとするのではなく、股関節から下の足の力を上手に使うこと。膝を曲げた状態から立ち上がるときの力を利用して、荷物を持ち上げます。
さらに荷物を下ろすときにも、腕や腰だけで操作しようとしてはいけません。足を前後に開き、腰を曲げるのではなく膝を曲げて、重心を後ろから前へ移す力も利用して荷物を下ろしましょう。
腰痛予防の習慣4:適度なストレッチ
腰回りの筋肉をストレッチによりほぐすことで、腰痛改善が期待できます。長く座った後や寝る前の習慣にすれば、腰の疲れがこまめにリセットされます。腰痛予防のストレッチとしては、例えば次のようなものがあります。
・腰回し
腰に両手を当てて、円を描くようにゆっくり回すストレッチです。このとき、足を腰幅に開き、腰だけを回すようにしましょう。腰と一緒に上半身全体を揺らしてしまうと、あまり効果がありません。
・体側伸ばし
バンザイの状態から手を組み、上体を横に倒すと、体の側面を気持ちよく伸ばすことができます。足を肩幅より広く開き、安定した姿勢を保ちましょう。腰を外側につきだすことを意識すると、より腰回りをほぐせます。上体を前に倒したり、後ろにそらしたりしないよう注意しましょう。
・半身ひねり
椅子に座ったまま腰をツイストし、腰全体をほぐすストレッチです。まずは骨盤を立て、背筋を伸ばした状態で椅子に座ります。そのまま椅子の背もたれなどをつかんで後ろの方を見るようにして、体を左右にひねります。腰が後ろに傾いたまま、あるいは前傾姿勢で行ってしまうと効果が薄れるので、必ず骨盤を立てましょう。
腰痛のひどい人は、無理のない範囲で行います。
腰痛予防の習慣5:日々の運動
ストレッチ以外にも、腰痛予防に効果的な運動があります。腰の筋力を鍛えるために、無理なく日常に取り入れられるのは、例えば以下の3つです。
・ウォーキング
ウォーキングは足腰の筋肉を強化するほか、鎮静作用のある「エンドルフィン」や神経バランスを整える「セロトニン」が分泌されることから、腰痛の軽減につながるとされています。日光を浴びることで体内につくられるビタミンDは、骨を強化する作用があります。
また、肥満がもとで腰椎に負担がかかり、腰痛となっている人にとっては、ダイエット効果も期待できるため、ウォーキングは腰痛持ちにとって一石何鳥にもなる運動です。
ただし、長時間歩き続けていると、前屈みになったり、あるいは反り腰になったりして、かえって腰を痛める可能性があります。歩いているときも、座っているときと同様「骨盤を立てる」を意識しましょう。
・体幹トレーニング
体幹とは、体の胴体の部分で、体幹トレーニングとは胸やお腹、背中の部分の筋肉を鍛えることをいいます。中でも腰痛予防にとって大事なのが、腹筋や背筋など腰回りのトレーニング。筋肉を自前のコルセットにして、腰椎を守るイメージです。
ただし、腹筋や背筋はけっこう激しい運動のため、やり方によってはさらに腰痛を悪化させてしまいます。腰痛を悪化させないトレーニングとして、次の2つを試してみましょう。
1 .腰痛を悪化させない腹筋の鍛え方-ドローイン
お腹をへこます深呼吸のことです。椅子に座ったままゆっくり深く息を吐き、お腹をへこませます。その後、風船のようにお腹を膨らませることをイメージしながら深く息を吸いこみます。お腹の奥にある腹横筋を刺激し、内側から体を引き締められます。
2. 腰痛を悪化させない背筋の鍛え方-上体そらし
うつ伏せの状態で腕を前に出し、そのままゆっくりと上体を起こします。痛気持ちよい程度のところで10秒ほど体勢をキープしたら、またゆっくりと元に戻ります。
・ヨガ
体のさまざまな部分を呼吸に合わせて伸ばすヨガのポーズの中には、腰痛に効くものもあります。その一例をご紹介します。
1. 猫のポーズ
猫のように背中を丸めたり、腰を反らせたりすることで、腰回りの筋肉を伸ばすポーズです。まずは四つん這いになり、息を吸いながら背中を反らせます。その後、ゆっくりと息を吐きながら背中を丸めます。あごを引いておへそをのぞき込むようにすると、背中の筋肉もほぐれていきます。
2. クロコダイルのポーズ
骨盤周りを刺激し、血流をアップさせることのできるポーズです。うつ伏せになり、両腕は肩の高さに一直線に広げます。そのままの姿勢で、息を吸いながら右足を床から持ち上げます。その後、息を吐きながら右足を左側にツイストします。膝をピンと伸ばすのがポイントです。
肉体の要となる腰を大事にした生活を
腰は、肉体を表す月(にくづき)に、最も大切な部分を表す「要」を合わせた文字です。文字通り、腰は体の中心にあり、健康な腰がなくては歩くことも、座ることも難しくなります。日常的に酷使するからこそ痛みも出やすい腰ですが、だからこそきちんといたわり、健康な生活を長く続けられるようにしましょう。
正しい座り方は維持するのが難しい
座り始めは骨盤を立てた正しい座り方を意識していても、維持することが難しい、という場合もあるでしょう。骨盤を立てて座ると腰は楽になりますが、しだいにお尻が痛くなってきます。
そうすると痛くない位置に重心を移すことになり、いつの間にか身体に負荷のかかる座り方になってしまいます。特に仕事など何かに集中しているとき、気づいたらいつもの悪い姿勢になっていたというケースもあります。
この「お尻が痛い」問題を解決する最善の方法は、「座る環境」を整えることです。
例えば、椅子にクッションを置くとお尻の痛みを和らげることができます。
クッションを購入するときなるべく安価なものや、見た目重視で購入するケースもあるかと思いますが、長時間座って作業に集中し、腰痛も予防したいと考えるなら、機能性クッションがオススメです。骨盤を立てた状態を自然に維持できるよう設計されたクッションですと、長時間でも安定して座り続けることができます。さらに、座ったときにお尻にかかる圧力を分散するタイプは「お尻が痛い」問題を解決することができます。
正しい座り方をキープするために、ぜひ自分に最適な「座る環境」を作ってみてください。
自分に合ったクッションを見つけるには、実際に座って試す!
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よくある質問
腰痛の原因とは
腰痛のほとんどは原因不明といわれています。
医師の診察や画像検査により「この骨の、ここの部分が傷んでいる」などと原因が特定できる「特異的腰痛」はわずか15%で、残りの85%は原因が特定できず、明らかな異常や病気を見つけられない「非特異的腰痛」です。
非特異的腰痛は、加齢や個人の体格、筋力をふくめ、腰に負荷がかかる日常動作の有無や生活環境、心理的なストレスなど、様々な要因が重なって起こるとされています。
特異的腰痛の原因となる病気例
・椎間板ヘルニア。背骨の間にある椎間板がつぶれ神経を圧迫し痛みを引き起こします。
・腰部脊柱管狭窄症。脊椎内の神経が圧迫され腰痛や足のしびれを引き起こします。
・脊椎腫瘍。脊椎骨にできた腫瘍が腰痛を引き起こします。
・骨粗しょう症による腰椎骨折。骨粗しょう症の人は骨がもろく腰椎骨折を引き起こしやすくなります。
・内臓疾患。泌尿器科や婦人科系、消化器、循環器系の病気が原因で腰痛が起こることがあります。
腰痛予防の習慣
1.冷えの改善。体が冷えて筋肉がこわばると、神経が圧迫され痛みが生じます。
2.座り方の改善。意識して良い座り方を継続できるようにしましょう。
3.荷物の持ち方の改善。床から重い荷物を持ち上げるときなどは、持ち方に注意しましょう。
4.適度なストレッチ。長く座った後や寝る前の習慣にすれば、腰の疲れがこまめにリセットされます。
5.日々の運動。腰の筋力を鍛えるために、無理なく日常に取り入れましょう。