骨盤を歪ませる危険な姿勢と、歪みを防ぐ正しい座り方
骨盤の歪みは、腰痛や背中の痛みに限らず頭痛や不眠、血流の低下による冷え、生理不順など、さまざまな不調をもたらします。骨盤が歪んでしまう原因は多々挙げられますが、とくに日常姿勢である「座り方」が悪いと、知らないうちに骨盤へ負担をかけてしまいます。足を組む、横座りをするなどといった骨盤を歪ませる危険姿勢と、歪みを防ぐための正しい座り方について解説します。
骨盤が歪むと、さまざまな不調につながる
骨盤は、人間の骨格のちょうど中心にあたる位置にあります。そして上半身と下半身をつなぎ、立つ、歩く、座るなど全ての動作においてバランスを調整する役割を持っています。また、硬い骨の「器」として、内臓や生殖器を守るという役割もあります。人間の体にとって、最重要な部位の1つです。
人間にとってかなめといえる骨盤が歪んでしまうと、次のような不調につながります。
・腰痛
骨盤が歪むと、骨盤を支える左右の筋肉バランスが崩れます。例えば、骨盤の歪みにより筋肉が左に傾くと、体は無意識に右方向へ重心を戻そうとするため、左右の筋肉に不自然な力が働きます。この状態が続くことで、痛みが発生します。そして椎間板ヘルニアなど、強い腰痛を伴う疾患へ移行してしまうことがあります。
・肩こり、偏頭痛
骨盤で上半身を支えきれなくなることによって背骨や首が前に倒れ、肩こりや首凝り、偏頭痛の原因になります。
・胃下垂、ほか内臓の疾患
内臓を守る器である骨盤が歪んでしまうため、内臓が下がってきます。さらに、歪みにより血流が滞ることで、内蔵機能の低下につながります。
・生理痛、生理不順
骨盤が守っている内臓の中には、子宮や卵巣といった生殖器もあります。骨盤の歪みにより内臓が下がることで、臓器の中で一番下にある子宮が圧迫されます。そして血流低下により機能が低下し、さまざまな生理トラブルに見舞われる可能性があります。
・自律神経失調症、不眠、うつ病
骨盤が安定しないことで姿勢が悪化すると、背骨を通る神経が圧迫され、自律神経の働きが乱れてしまう可能性があります。自律神経の乱れは自律神経失調症につながり、頭痛や動悸、だるさ、不眠、うつ病などを引き起こします。
骨盤の歪みは、こうして作られる
骨盤はさまざまな骨や関節などのパーツでできており、どこか一部に持続的な力が加わったり、ねじれたまま過ごしたりすると、そのままの形で固まってしまうことがあります。そしてついには、歪んでしまうのです。
骨盤に負担がかかる原因には、次のようなものがあります。
・悪い座り方
姿勢良く座らず、体をねじらせたり、背骨に負担をかけたりするような座り方を続けていると、骨盤に負担がかかります。
・筋力低下
骨盤は、体幹の筋肉によって支えられています。よって運動不足や加齢により筋力が低下すると、骨盤によけいな負担がかかって歪みやすくなります。
・骨の量や質の低下
授乳や加齢によりカルシウムが不足すると、骨の量や質が低下し、弱くなってしまいます。骨盤もまた、少しの負担で歪みやすくなります。
・柔らかすぎる、固すぎる寝具
柔らかすぎるベッドは、寝姿勢をとったときに腰の部分が深く沈み込んでしまい、不自然な姿勢で寝ることになるため、骨盤に負担がかかります。固すぎる布団もまた、骨盤に負担をかけます。
・出産後の過ごし方がよくない
女性の骨盤は出産によって大きく開かれ、出産後、徐々に閉じていきます。このため、出産直後に悪い座り方をしたり、柔らかすぎる、または硬すぎる寝具を使ったりすると、骨盤が歪んだままの状態で閉じてしまいます。
骨盤を歪ませる危険な座り方5つ
骨盤を歪ませる原因の中でも、すぐに改善できそうなのが「座り方」です。まずは、日常生活において次のような座り方をしていないか、見直してみましょう。
・足を組んで座る
横座り同様、体が大きくねじれてしまう座り方です。足を組んで座るクセのある人は、必ず同じ方の脚を上にする傾向があります。これにより、骨盤が常に同じ方向へ傾き、歪みが生じます。
・背もたれに強くもたれかかる
椅子の背もたれに強くもたれかかると、お尻がズルッと前に滑ります。すると骨盤は大きく後ろに傾きます。この姿勢が常態化することで、骨盤に前後の歪みが生じやすくなります。
・横座り
床に座るとき、正座の姿勢からお尻を片一方にずらし、足を横に出す座り方です。このとき、腰回りは大きくねじれてしまい、骨盤は足を投げ出している方が上、お尻を出している方が下に傾きます。これにより骨盤に左右の歪みが生じます。
・ぺたんこ座り
正座の姿勢から、膝から下を左右に開き、お尻をペタンと地面につけて座るのがぺたんこ座りです。この座り方では、過度に内股となってしまい、腰から太ももにかけての筋肉がねじれてしまいます。
・あぐら座りで猫背になる
あぐらを組んでみると分かることですが、体幹にある程度の筋肉がついていないと、正しい姿勢を保とうとしてもそのうち猫背になってしまいます。あぐらをかき、かつ猫背になると、骨盤が後ろに傾き、前後の歪みが生じやすくなります。
骨盤の歪みを悪化させない、正しい座り方
骨盤を歪ませない正しい座り方は、「骨盤を左右前後に傾けない座り方」です。骨盤を垂直に立て、かつ水平に保つことができれば、よけいな負担はかかりません。次の3点を意識しましょう。
1.左右の坐骨に、均等に力が加わるように座る
椅子の背もたれにお尻が突き当たるほど深く座り、背もたれに軽く背中を沿わせるようにして上体を起こします。ここでお尻の下に両手を入れてみてください。どちらの手にも、コツコツと大きな骨の手触りを感じるでしょう。これが坐骨です。この坐骨に、均等に力が加わるように座りましょう。床座りでも、ポイントは同じです。
もし足を組んだり、横座りをしたりすれば、片方のお尻は浮いてしまいます。背もたれに強くもたれかかると、坐骨ではない仙骨という骨に負荷がかかります。お尻の下に入れた両手に最も強く坐骨があたり、どちらにも均等に体重がかかる位置を探しあててください。
こうやって座ることを「骨盤を立てる」といいます。骨盤を立てることで、少なくとも悪い座り方による歪みは生じなくなります。
2.体は正面を向く
体がねじれていると、左右の坐骨へ均等に力がかかりません。骨盤が左右に傾いてしまいます。また、ねじれにより筋肉がこわばることによって、腰痛の原因になってしまいます。
家族で団らんしているとき、テレビを見るために横を向いたり、子どもの世話をするために体をねじったりしてしまう人はいませんか。そのまま横向きにねじれた姿勢をとらず、すぐに正面を向いた姿勢に戻るようにしましょう。
3.頭を前に出さない
パソコンのモニターなど、前にあるものをよく見ようとすると、自然と頭が体の前に出てしまいます。頭が前に出ると肩も前に出て、猫背の姿勢をとることになります。すると骨盤が後掲し、歪みの原因となります。
また、成人の頭は平均して4キロから6キロほどもあります。重い頭を前に出すと、首にかなり負担がかかり、首こりや肩こり、偏頭痛のもとにもなってしまいます。
天井からまっすぐ糸がつるされ、頭がその糸に引っ張られているようにつるされているとイメージしてみてください。すると、頭は前に出ません。気づいたときに、意識してみてください。
骨盤の歪みを予防して、快適ライフを手に入れよう
骨盤を歪ませない正しい座り方を意識すると、次第に不調が和らぎ、快適に過ごせるようになるでしょう。また、日常に運動を取り入れたり、寝具を見直したり、カルシウムを多く含む食品を摂ったりすることで、より骨盤に優しい生活を送るようにしましょう。きっと、不調はさらに改善されます。
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【参考文献】
『骨盤のゆがみが治る100のコツ』主婦の友社
『「骨盤」自力整体』矢上裕、永岡書店
『腰痛は自分で治せる』石井博明、主婦の友社
『はじめてのバランスボール』後藤志帆・鈴村典子監修、池田書店
『体のゆがみを治す!骨盤調整で健康にヤセる』岡島瑞穂、宝島社