尾てい骨が痛む原因は?予防・対処方法とあわせて受診のポイントを紹介
尾てい骨は「尾骨」とも呼ばれる、脊椎の一番下にある三角形の骨です。「お尻のつけ根の骨が痛い」と感じるとき、この尾てい骨に痛みがあることが多いです。
尾てい骨の痛みにはいくつか原因が考えられ、病院で治療を受ける場合には受信ポイントがあります。尾てい骨が痛む場合の対処方法を解説します。
尾てい骨が痛む原因
尾てい骨が痛む原因にはさまざまなものが考えられます。ここでは、主な原因と考えられる5つについて解説します。
・尾てい骨の歪み
尾てい骨は、強い衝撃や長時間の不適切な座り方により、歪んでしまうことがあります。歪みが生じると周辺の筋肉が緊張し、痛みにつながることがあります。
・姿勢による圧迫
長時間のデスクワークなどで座る時間が続くと、お尻が圧迫され続けることで一時的に尾てい骨が痛む場合があります。離席することでいったんは痛みが和らいでも、長時間の座り姿勢を繰り返すことで尾てい骨が歪み、継続的な痛みに発展することがあります。
・筋緊張
歪みにまでは発展していなくても、尾てい骨周りの筋肉が緊張することで痛みが生じるケースがあります。
・ケガや骨折
尻もちでお尻を強打するなどすると、尾てい骨を痛めてしまうことがあります。整形外科で画像診断をしてもらうと、尾てい骨を痛めたことが分かるかもしれません。
・妊娠や産後
妊娠中や産後はホルモンの影響で骨盤周りに緩みが生じ、尾てい骨も動きます。すると尾てい骨周りの筋肉が引っ張られることにより、痛みが生じることがあります。また、特に妊娠中は重いお腹で座り姿勢を取ることで、普段よりも尾てい骨への負担が大きくなります。
尾てい骨が痛くなる主な疾患6つ
尾てい骨の痛みが一時的なものではなく、長く続く場合は疾患の可能性もあります。尾てい骨に直接関係のある疾患や、間接的に関係する疾患6つについて解説します。
・変形性脊椎症
〈概要〉
脊椎(背骨)を構成する椎間板や椎骨といった組織が変形し、痛みを引き起こす疾患です。
〈原因・症状〉
加齢によって組織の変性が起こり、椎間板が潰れたり関節が変形したりすることで神経が圧迫され、腰痛やお尻から足にかけての痛み、しびれが生じます。尾てい骨周りに変形が起こることもあります。
〈検査・治療〉
X線検査により脊椎の組織の変性について調べます。医師の診断により、症状に合わせて消炎剤や鎮痛剤が処方されたり、ブロック注射で痛みを和らげたりします。加齢に伴い誰にでも起こる変化のため、無症状であれば治療の必要はないとされます。
・腰椎分離症
〈概要〉
脊椎のなかでも腰のあたりにある腰椎が分離してしまう疾患です。5つの椎骨で構成される腰椎のうち、一番下の5番目の腰椎に発生しやすいとされています。
〈原因・症状〉
スポーツなどで腰をひねるなど激しい運動を繰り返すたびに、徐々に椎骨が分離していきます。比較的若年層に多いのが特徴です。腰を後ろに反らせたとき、腰痛やお尻から足にかけて痛みとしびれが生じます。脊椎分離症が尾てい骨の痛みを直接引き起こすわけではありませんが、腰痛により不自然な座り方になるなど無理な姿勢を続けると、尾てい骨にも痛みが生じる恐れがあります。
〈検査・治療〉
X線検査を行い診断します。はっきり確認できない場合はMRIやCTで画像診断をします。原因となったスポーツをやめて安静を保ち、消炎鎮痛剤で痛みを抑えます。
・腰椎すべり症
〈概要〉
腰椎が前後にずれてしまう疾患です。腰椎分離症から移行する「腰椎分離すべり症」と、中高年女性に多い「腰椎変性すべり症」があります。
〈原因・症状〉
「腰椎分離すべり症」は、腰椎分離症によって分離した腰椎がさらに前後にずれることで起こります。「腰椎変性すべり症」を発症する原因はよく分かっていません。腰椎が前後にずれると、神経が圧迫され腰やお尻、足にかけて痛みやしびれが生じます。歩行障害を生じることもあります。
尾てい骨の痛みを直接引き起こすわけではありませんが、腰椎分離症と同じように、腰痛により不自然な座り姿勢などを続けると、尾てい骨にも痛みが生じる恐れがあります。
〈検査・治療〉
X線検査や、MRI、CTで画像診断をします。消炎鎮痛剤など痛みを抑える薬の処方を行い、神経ブロック注射を打つこともあります。また、腰への負担を和らげるためコルセットを使用します。重度の場合は手術療法を行います。
・馬尾腫瘍
〈概要〉
脊椎には神経の束である脊柱管が通っています。脊柱管の下部にあたる「馬尾」に腫瘍ができるのが、馬尾腫瘍です。
〈原因・症状〉
脊柱管は神経の束であり、馬尾も神経の集まりのため、そこへ腫瘍ができれば神経が圧迫され、強い痛みが生じます。尾てい骨から腰にかけて、とくに夜間に痛みやしびれが生じるのが特徴です。
〈検査・治療〉
MRIやCTにより画像診断を行います。手術を行い、腫瘍を取り除くのが一般的な治療法です。
・坐骨神経痛
〈概要〉
坐骨神経痛は疾患名ではなく、腰からお尻、足にかけての痛みやしびれの総称です。何らかの原因により腰椎の組織が変性するなどして神経が圧迫され、症状が出ます。
〈原因・症状〉
これまでに紹介した腰椎すべり症や腰椎分離症などの疾患により生じることもあれば、原因不明のこともあります。長時間のデスクワークによる運動不足で起こることもあります。腰痛、お尻や足の痛み、しびれ、ひどいときには排尿障害や歩行障害が出ます。
〈検査・治療〉
医師が歩行や姿勢を確認し、触診する、X線検査をするなどして診断を行います。原因となる疾患が判明すれば、疾患の治療を行います。原因疾患が見当たらなければ、症状を和らげるため痛み止めの薬や注射で対応したり、牽引したり、コルセットを装着するなどして症状の緩和を試みます。症状が軽い場合は運動療法も行われます。
・骨折
〈概要〉
尾てい骨が骨折してしまった状態です。尾てい骨は細くとがっており、また強度があるともいえないため、尻もちをついたなどの衝撃でも骨折する恐れがあります。
〈原因・症状〉
お尻を強く打ったなど、自分でも思い当たる出来事が原因であることがほとんどです。お尻付近が強く痛み、腫れを生じます。動いたときとくに痛みが強くなります。
〈検査・治療〉
問診などを行った上でX線撮影を行い、骨折を確認します。安静にした上で消炎鎮痛剤を使い、様子をみます。一般に、手術は行いません。
尾てい骨が痛いときの治し方
持続する尾てい骨の痛みを和らげたいと考えたとき、自己診断で何らかの対処法を行うのはあまりおすすめできません。重大な疾患を抱えている可能性があるため、まずは医師の診察を受けるのが正しい対処法です。尾てい骨が痛いときの治し方を3ステップでお伝えします。
・ステップ1:病院での診察
まずは整形外科を受診します。「いつから」「どこが」「どのように」痛むのかを問診票に書き込んだり、医師の診察で問診されたりするため、詳細をあらかじめメモしておくとスムーズです。
問診や触診、画像検査の結果、診断がなされます。何らかの疾患が疑われるようなら、医師の指導に沿って治療を行いましょう。なお、痛みを和らげるために接骨院や整体へ通ってもよいか、セルフマッサージをしてもよいかなど今後の過ごし方についてアドバイスをもらいましょう。
・ステップ2:接骨院・整体院での施術
骨折や打撲などケガの症状で尾てい骨が痛いと判明したときは、医師の診断が下りた後、接骨院で施術を受けることができます。整体院では、ケガが原因ではない慢性的な痛みに対処してもらえます。
接骨院や整体院は、病院ではないため、X線による検査はできません。また、薬は処方されません。尾てい骨に痛みがあるなら、あくまで整形外科の診断が下りた後、体を元の状態に戻すためや、痛みを緩和してもらうために通うところと認識しましょう。
・ステップ3:自宅でセルフケア
整形外科や接骨院、整体院でセルフマッサージをしてもよいかアドバイスを得た後に、自宅でのセルフケアを行います。病状が重いのに独断でセルフケアを行うと、痛みを悪化させてしまう可能性があるためです。
筋緊張のため尾てい骨の痛みが出ている場合は、テニスボールがセルフマッサージに役立ちます。テニスボールをお尻と椅子の間に挟んで椅子に座ります。尾てい骨周りにテニスボールを当て、そのまま数秒、座りましょう。場所を少しずつずらしながら、「痛いが気持ちいい」と感じるところにテニスボールを当て、数秒キープを繰り返します。お尻周りの筋肉がほぐれていきます。
尾てい骨が痛いときの過ごし方と予防法
疾患やケガがないのに尾てい骨が痛む場合は、日頃の過ごし方が腰回りに影響を及ぼしているのかもしれません。とくにお尻への圧迫が気になる「座り姿勢」を中心に改善し、痛みの改善や予防に役立てましょう。
・「ずっこけ座り」は今すぐやめて、坐骨で座る
椅子に浅く腰かけ、背もたれに強く背中をもたれさせると、お尻が前に滑る「ずっこけ座り」になってしまいます。すると、お尻の後ろの方の骨が椅子の座面に強く当たるため、尾てい骨の痛みに悪影響を及ぼす恐れがあります。
椅子には深く座り、背もたれには背中を沿わせる程度に留めましょう。すると、座面に座ったときお尻の真下にあたる「坐骨」を使って座っていることが感じられるはずです。尾てい骨が座面に当たらない座り方を意識しましょう。
・必要に応じてクッションを利用する
長く座れば座るほど、お尻に負担がかかります。よって一定時間座り続けたら立ち上がって休憩を取るのが理想的ですが、仕事柄どうしてもうまく休憩が取れないこともあります。お尻が痛くなるのを回避したいときは、クッションの利用を検討しましょう。尾骨を浮かすことができる、ドーナツ型のクッションが市販されています。また、長時間の「座り」に特化したジェル素材の高機能クッションなら、体圧を流動分散してくれるため、人の手のように優しく体を守ります。尾てい骨だけでなく、腰回り全般の痛みに悩んでいる人にもおすすめです。
・尾てい骨周りを柔軟にするトレーニング
筋緊張のため尾てい骨が痛くなってしまった人は、痛みの程度が軽ければトレーニングを行い、腰回りの筋肉を柔軟にしておきましょう。仰向けのまま脚を上げ、サイクリングのように脚をグルグル動かしたり、仰向けで両脚を胸に引き寄せて抱え、ダンゴムシのようなポーズを取ったりすると、お尻周りの筋肉をほぐせます。トレーニングの際には、お尻の下にクッションを敷いて尾てい骨を守りましょう。
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チェックまとめ
□尾てい骨が痛む原因は、歪みや筋緊張、姿勢による圧迫、妊娠、出産などがある
□尾てい骨の痛みが持続するようなら整形外科を受診する
□尾てい骨が痛むなら日常の「座り」の見直しが大事