脊柱管狭窄症の原因と対策「やってはいけないこと」「やったほうがいいこと」
脊柱管狭窄症と診断され、「日常で気をつけられることはないだろうか」と考えてストレッチなどにいそしんでいる人もいるでしょう。しかし、よかれと思って実行しているセルフケアのなかには、かえって病状を悪化させてしまう恐れのあるものもあります。脊柱管狭窄症の原因と対策について解説した上で、やってはいけないこと、やったほうがいいことをご紹介します。
脊柱管狭窄症とは
脊柱管狭窄症とは、背骨部分にある脊柱管が狭くなった状態をいいます。脊柱管の中には脊髄が通っていて、この中が狭くなると神経が圧迫され、痛みを生じます。
脊柱管が狭くなる直接の原因は、椎間板や背骨、黄色靱帯などといった周辺組織が肥大したり、変形したりして脊柱管を圧迫することです。
脊柱管狭窄症になると、腰痛のほか、お尻から足の裏側にしびれが生じます。また、狭窄の部位や程度によっては、脚のマヒ症状や排泄障害が起こるケースもみられます。
腰痛や下肢のしびれが起こる症状自体は坐骨神経痛と呼ばれており、脊柱管狭窄症以外にも腰椎椎間板ヘルニア、変形腰椎症など、坐骨神経痛が起こる疾患はさまざまあります。腰回りに痛みやしびれが生じただけで「これは脊柱管狭窄症だ」と判断することなく、まずは整形外科などの診察を受けましょう。
脊柱管狭窄症になる原因
なぜ脊柱管の中が狭くなってしまうのでしょうか。主に4つの原因が挙げられます。
・肥満
肥満になると、重い体重を腰で支えるため、腰椎に負荷がかかりやすくなります。すると椎間板や靱帯など脊柱管周辺組織の変形、変性が進み、脊柱管狭窄症を発症しやすくなるといわれています。
・加齢
脊柱管狭窄症は高齢になるほど発症率が上昇します。加齢とともに背骨の周辺組織の変形や変性が進むためです。
また加齢により筋力が衰えるに従って背骨に負荷がかかりやすくなることも、脊柱管狭窄症の原因になります。
・動作
パソコン作業や車の運転などで長時間同じ姿勢を取ることが多い人は、腰に負担がかかりやすいといえます。重い荷物を持ち上げる動作が多い人も同様です。背骨に負荷がかかる生活が続けば、脊柱管狭窄症のリスクは高まります。
・先天的な異常
生まれつき脊柱管が細いために、若いうちから脊柱管狭窄症の症状を訴える人がいます。血縁者に脊柱管狭窄症の人がいると比較的発症しやすいと言われていますが、脊柱管狭窄と遺伝の関係性は、まだハッキリとは分かっていません。
やってはいけないこと
脊柱管狭窄症の人は、以下のような動作を行うと痛みが増し、症状が悪化する可能性があります。
・腰を反らす動作
脊柱管狭窄症の人が腰を反らすと、脊柱管の中がさらに狭くなり、神経を圧迫して症状が悪化する可能性があります。腰痛に効く体操やストレッチをと考え、腰を反らすメニューを取り入れると痛みが増すため、気をつけましょう。
・背筋を伸ばす動作
腰を反らす動作と同様に、背筋を伸ばす動作も脊柱管をさらに狭くする可能性があるため、おすすめできません。「姿勢をよくしなければ」と意識し、胸を張るような形で背筋を伸ばすのは控えましょう。
・無理な体勢での運動
無理な体勢をとらなければならない運動は避けましょう。例えば、ヨガは体を柔らかくするのに有効ですが、上級者向けポーズの中には無理な体勢をとるものもあります。また、ゴルフやテニス、バッティングなど、とくに体をひねる動作が多いスポーツは、背骨に負荷がかかりがちです。
やったほうがいいこと
脊柱管狭窄症の人がやったほうがいいことは、例えば以下の4つです。ただし症状の程度によっては控えた方がよい運動もあるため、医師の指示に従いましょう。
・動かず安静にする
あまりに痛みが強い急性期は、無理に体を動かす必要はありません。もし痛みが強い時期に過度な運動をすると、かえって症状がひどくなってしまう結果になりかねません。なるべく安静にしていましょう。
ただし、がまんできるくらいに痛みが和らいだ後は可能な範囲で体を動かします。ずっと安静にしたままでは、筋肉が衰えてしまい背骨への負担が強くなるうえ、体が凝り固まって血流が滞り、痛みが増してしまうためです。寝たきりのリスクも高まります。
・毎日歩く
1日30分程度のウォーキングで腰回りをほぐし、血行を良くすることで痛みが和らぐ効果があります。筋力がアップするため、腰への負担を減らすことも可能になります。
ただし、脊柱管狭窄症の人は、あまり長時間歩くと足腰に痛みやしびれが出て歩けなくなる「間欠性跛行(はこう)」が出やすくなります。長時間のウォーキングは禁物です。やむをえず長時間歩くときは、こまめに休憩を取り入れましょう。
・自転車、エアロバイク
自転車やエアロバイクを漕ぐと、腰の深部にある筋肉や太ももの筋肉が鍛えられます。腰回りを支える筋肉が増強すると背骨への負担が軽減されるため、脊柱管狭窄症の症状を和らげる効果があります。
なお自転車を漕ぐとダイエット効果があるため、肥満が脊柱管狭窄症の原因の一つになっている人にもおすすめです。
自転車を漕ぐときには前かがみの姿勢になります。この姿勢もまた、腰を反らせる姿勢が苦手な脊柱管狭窄症の人に適しているといえるでしょう。
・正しい姿勢
腰に最も負担のかからない正しい座り姿勢は「骨盤を立てる」座り方です。骨盤を前にも後ろにも傾けず、床と垂直にすることを意識します。
骨盤が前に傾くと背中を反らせてしまい、脊柱管狭窄症の人は痛みが強く出ます。後ろに傾けるといわゆる猫背となり、背骨に過度な負担がかかります。
骨盤を立てるには、椅子に深く座ってお尻を背もたれにつけ、そのまま体を起こしてみましょう。お尻の下にある硬い骨(坐骨)に体重がしっかり乗っているのを感じたら、それが正しい座り方です。
また、「背筋を伸ばす」のではなく「お腹を伸ばす」ことを意識して、姿勢を正しましょう。無理に背筋をピンと伸ばそうとすると、腰が反ってしまいます。猫背になっているときは縮んでしまっているみぞおちの部分を、上に伸ばすことを意識するのが大事です。頭頂部から糸が出ていて、天井から吊されているイメージを持つと、自然に姿勢を正すことができます。
脊柱管狭窄症の治療法
セルフケアの方法に気をつけながら、自分に合った治療を進めていきましょう。医師の治療方針に従い、以下のような治療法のいずれか、あるいは複数を組み合わせて症状を和らげます。
・薬物療法
薬を投与することにより症状を和らげる方法です。鎮痛薬で痛みを抑えたり、筋弛緩薬で筋肉の緊張を緩めたり、血管拡張薬で血流を促したりします。薬物療法を行えば、薬で痛みを抑えている間に運動や日常生活の改善などを行うことが可能になります。
・装具療法
医療用コルセットを腰部に装着し、腰痛にかかる負担を軽減させる方法です。低下した筋力を補い、姿勢を正す効果があります。しかしコルセットに頼る生活が続くと筋力低下を招くため、痛みが引いてきたらコルセットを外し、腰回りの筋肉を鍛える運動を行うのが良いとされています。
・リハビリテーション
理学療法士などの指導のもと、ストレッチや筋力トレーニングといったリハビリテーションを行います。専用の牽引器で脊椎や四肢を引っ張る牽引療法が取り入れられることもあります。
・手術療法
下肢に強いマヒがある、跛行で10メートルも歩けない、排尿障害があるといった深刻な症状がある人は、手術の対象になります。圧迫の原因となっている組織の一部を切除することで症状を取り除きます。状態の悪い人の場合は、金属のボルトなどを使って椎骨と椎骨を留め、固定することもあります。
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【まとめ】
□脊柱管狭窄症の原因は肥満や加齢、よくない日常動作
□脊柱管狭窄症の人は腰を反らせてはならない
□脊柱管狭窄症にはウォーキングや自転車が有効
□正しい姿勢が腰への負担を和らげる