福祉用具をレンタルしたい!どこで借りられる?予算は?手順を解説
介護が必要になったら、福祉用具をレンタルしたり、購入したりすることを考える必要があります。
車いす、歩行補助つえ、介護用ベッド、歩行器などはどこでレンタルでき、またいくらくらいで借りられるものなのでしょうか。
また、便座など、用具によってはレンタルに適さず、購入すべきものもあります。
福祉用具のレンタルの仕組みと予算、注意点などについてレンタル手順に従って解説します。
福祉用具のレンタルの仕組み
65歳以上、または40歳以上で介護が必要と認められたなら、介護保険制度を使って福祉用具を利用料の1~3割(所得により変動)でレンタルすることができます。
車いすや介護ベッドなどは高価なものなので、レンタルできると安心です。
レンタルできる福祉用具の種類は、介護度の程度によって違ってきます。また、訪問介護など他の居宅サービスと合わせた支給限度額が、介護度により決まっています。
介護認定を受けると担当相談員としてケアマネージャーがついてくれるため、一緒にケアプランを立てながらレンタルする福祉用具を決めるのが一般的です。
用具ひとつとっても、機能やデザイン、レンタル価格はさまざまです。介護を受ける人の身体機能や好み、予算に合わせて考えなければなりません。
レンタルサービスを行っている業者などにいる福祉用具専門相談員によく相談しながら、どんなものを借りるか決めることになります。
レンタルは一か月単位で可能なので、一度借りてみて、身体に合わなければ別のものを取り寄せることも可能です。
レンタル後も、ケアマネージャーと情報を交換しながら、適した福祉用具を使えるようにしていきましょう。
レンタルできる福祉用具13種目
介護保険制度を使って、1~3割負担でレンタルできる福祉用具は以下の通りです。
①車いす
要介護2から対象。自走用標準型車いす、普通型電動車いす、介助用標準型車いすの3種類です。
②車いす付属品
要介護2から対象。クッション、電動補助装置などで、車いすと一体的に使用されるものです。
③特殊寝台(介護用ベッド)
要介護2から対象。サイドレールが取り付けてあるもの又は取り付けることが可能なもので、次に挙げる機能のいすれかを有するものです。
・背部または脚部の傾斜角度が調整できる機能
・床板の高さが無段階に調整できる機能
④特殊寝台付属品
要介護2から対象。
マットレス、サイドレール等であって、特殊寝台と一体的に使用されるものです。
⑤床ずれ防止用具
要介護2から対象。次のいずれかに該当するものです。
・送風装置又は空気圧調整装置を備えた空気マット
・水等によって減圧による体圧分散効果をもつ全身用のマット
⑥体位変換器
要介護2から対象。空気パッド等を身体の下に挿入することにより、居宅要介護者等の体位を容易に変換できる機能を有するものです。体位の保持のみを目的とするものを除きます。
⑦手すり
要支援段階から対象。取り付けに際し、工事を伴わないものが該当します。
⑧スロープ
要支援段階から対象。段差解消のためのものであって、取付に際し工事を伴わないものが該当します。
⑨歩行器
要支援段階から対象。歩行が困難な者の歩行機能を補う機能を有し、移動時に体重を支える構造を有するものであって、次のいずれかに該当するものです。
・車輪を有するものにあっては、体の前及び左右を掴む把手等を有するもの
・四脚を有するものにあっては、上肢で保持して移動させることが可能なもの
⑩歩行補助つえ
要支援段階から対象。松葉づえ、カナディアン・クラッチ、ロフストランド・クラッチ、プラットホームクラッチ又は多点杖が該当します。
⑪認知症老人徘徊感知機器
要介護2から対象。認知症である老人が屋外へ出ようとしたとき等、センサーにより感知し、家族及び隣人等へ通報するものです。
⑫移動用リフト(つり具部分を除く)
要介護2から対象。床走行式、固定式又は据置式であり、身体を吊り上げ又は体重を支える構造を有するものであって、その構造により、自力での移動が困難な者の移動を補助する機能を有するものです。取り付けに住宅の改修を伴うものを除きます。
⑬自動排泄処理装置
要支援段階から対象。(排便機能を持つものは要介護4から対象)尿又は便が自動的に吸引されるものであり、かつ、尿や便の経路となる部分を分割することが可能な構造を有するものであって、居宅要介護者又はその介護を行う者が容易に使用できるものです。交換可能部分を除きます。
レンタルできず、購入対象となる福祉用具5種目
他人が使用したものを再利用することに心理的抵抗感が伴う入浴・排泄関連用具や、使用により劣化するおそれのあるつり上げ式リフトのつり具などは、購入しなければなりません。介護度などにかかわらず、1年間に10万円を限度として、購入費の9割までが支給されます。利用者の負担額は、1割から3割です(所得により変動)。
①腰かけ便座
便器の上に置いて使用する便座や、いわゆるおまる式の移動可能な便器が対象になります。
②自動排泄処理装置の交換可能部分
尿や便が自動吸引される装置の交換可能な部品が対象になります。
③入浴補助用具
入浴用のいすや台、手すり、浴槽内の椅子やすのこ、介助ベルトなど、入浴に関わる介助用品が対象になります。
④簡易浴槽
持ち運びができるお風呂で、空気式や折り畳み式といった容易に移動できるもの、工事を伴わないものが対象になります。
⑤移動用リフトのつり具の部分
体に適合するもので、移動用リフトに連結可能なものが対象となります。
福祉用具をレンタルするときの予算
福祉用具をレンタルするときの予算立ては、ケアマネージャーと一緒に行うのが安心です。福祉用具のレンタルは介護保険制度における居宅サービスの一環であり、居宅サービス全体で支給される限度額が決まっているからです。
居宅サービスには、訪問介護や訪問入浴介護、通所介護(デイサービス)、短期入所生活介護(ショートステイ)などがあります。「必要なサービスと福祉用具のレンタルを合わせたら、限度額オーバーになってしまった」ということのないよう、しっかりケアプランを作成しましょう。
福祉用具をレンタルするときの注意点
福祉用具を決めるとき、介護度が進んでいればいるほど、専門員と介護をする側の人間だけで決めてしまいがちです。しかし、できる限り福祉用具を使用する本人の意見も取り入れられるようにしましょう。
デザインや色など、限られた選択肢ではありますが、なるべく本人の好みに合う福祉用具をレンタルできれば、日々の気分も違います。
また、利用を始めてからも、不便な点や本人の身体、機能に合っていない点などが見つかれば、こまめに専門員に相談するのが大事です。
本人の訴えに耳を傾けるのはもちろんのこと、介護者側が本人の体の動かし方や表情をじっくり観察し、居宅サービスの担当者などにも確認してもらいましょう。
状態に合った用具をレンタルして、快適な暮らしを
福祉用具は、利用者とその家族の快適な暮らしをサポートするためのものです「この用具をレンタルすれば、自分でできることの幅が広がる」と思えば、車いすや杖が、生活のための心強い味方に見えてくることでしょう。
用具が本人の身体に合うかどうかは、使ってみなければ分かりません。まずはケアマネージャーと相談し、状態にあった用具をレンタルしてみましょう。
よくある質問
福祉用具のレンタルの仕組みとは
65歳以上、または40歳以上で介護が必要と認められたなら、介護保険制度を使って福祉用具を利用料の1~3割(所得により変動)でレンタルすることができます。レンタルできる福祉用具の種類は、介護度の程度によって違ってきます。また、訪問介護など他の居宅サービスと合わせた支給限度額が、介護度により決まっています。
レンタルできる福祉用具とは
1.車いす。
2.車いす付属品。
3.特殊寝台(介護用ベッド)。
4.特殊寝台付属品。
5.床ずれ防止用具。
6.体位変換器。
7.手すり。
8.スロープ。
9.歩行器。
10.歩行補助つえ。
11.認知症老人徘徊感知機器。
12.移動用リフト(つり具部分を除く)。
13.自動排泄処理装置。
レンタルできず、購入対象となる福祉用具とは
1.腰かけ便座。
2.自動排泄処理装置の交換可能部分。
3.入浴補助用具。
4.簡易浴槽。
5.移動用リフトのつり具の部分。
再利用することに心理的抵抗感が伴う入浴・排泄関連用具や、使用により劣化するおそれのあるつり上げ式リフトのつり具などは、購入が必要です。
介護度にかかわらず、1年間に10万円を限度とし、購入費の9割までが支給されます。利用者の負担額は、1割から3割です(所得により変動)。
参考:社保審-介護給付費分科会 第141回(H29.6.21) 参考資料1
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000168702.pdf